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女性1人起業 リアルストーリー 第5回

新しい肩書きのつくりかた

吉戸 三貴

 
新しい肩書きのつくりかた

起業してから、私は2つの肩書きを使うようになりました。ひとつは「株式会社スティル代表取締役」、もうひとつは「コミュニケーションスタイリスト」。後者は自分でつくった肩書きです。わざわざ新しい肩書きをつくったのは、すでにある職名(コンサルタント、講師など)では、自分がしたい仕事の内容や世界観を表現できないと考えたからでした。

今回は、質問をいただくことが多い「新しい肩書きのつくりかた」について簡単にご説明したいと思います。

【STEP1】メリット、デメリットを検証する
まずは、本当に新しい肩書きをつくる必要があるかを考えましょう。新規性、自分がしたいことを的確に伝えられるというメリットはありますが、誰も知らない言葉を認知してもらうという労力がかかるのも事実です。

【STEP2】自分の仕事をあらわす言葉を「名詞」と「動詞」にわけて書き出す
新しい仕事を一語で表すのは難しいものです。理想は、皆がある程度知っている言葉を二つ組み合わせて、新しい言葉をつくること。「〇〇を(名詞)」と「〇〇する(動詞)人」という風にわけて考えると、浮かびやすくなります。この段階では考えすぎずに、とにかく数を出すのがポイントです。
名詞の例:コミュニケーション、PR、コミュニケーション課題 など
動詞の例:スタイリスト、コンサルタント、講師、教師、インストラクター など
私の場合は、PRやコミュニケーションに関する課題を解決する職業、というイメージで言葉を探しました。

【STEP3】STEP2で書き出した言葉から、良いものを選んで組み合わせる
言葉を書き出したら、名詞1つ、動詞1つを選び出し組み合わせます。私は「コミュニケーション(〇〇を/名詞)」+「スタイリスト(〇〇する人/動詞)」を選びました。自分の魅力を引き出す洋服を選ぶようにコミュニケーションを着替えましょう、そのお手伝いをさせてください、という思いを込めています。もう少し短い言葉も探しましたが、しっくりくるものがなくギリギリの長さでまとめました。

【STEP4】肩書きの最終チェック
肩書きは、一度決めたらしばらくの間使い続けるものです。使い始める前に
・不適切な表現ではないか
・他ですでに使われていないか
・自分がする仕事や働き方のスタイルをきちんと表現できているか
・想定するお客様にとって違和感がない言葉か
・スムーズに自己紹介ができるか
などのチェックを行います。

肩書きづくりは、自分がしようとしていることを一言で表現する練習にもなります。「何か新しいことを始めたいな」と思ったら、試してみるのも良いかもしれません。

 

コラム執筆者プロフィール

株式会社スティル 代表取締役/コミュニケーションスタイリスト

沖縄生まれ。

慶應大学卒業後、沖縄県の奨学金でパリに留学。海外生活を経て極度の人見知りを克服した経験からコミュニケーションに関する仕事に関心を持ち、帰国後PRの世界へ。開館間もない沖縄美ら海水族館の広報担当として経験を積む。

その後、第1期PRプランナー資格を取得し、東京のPR会社に転職。官公庁の大型キャンペーンや外資系メーカーの新製品ローンチに携わる。

プランナーとして活動するうち、表参道に住み働くライフスタイルや独自のコミュニケーション理論に関心が集まり、講演や執筆の依頼が増えたことから、株式会社スティルを設立。

「コミュニケーションを着替えよう」をコンセプトに、コミュニケーションスタイリストという仕事をつくり、活動をスタートした。

現在は、東京・沖縄を拠点に、起業支援、PRコンサルティング、ブランディングなどを行っている。国内外での講演、執筆活動も。