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女性1人起業 リアルストーリー 第2回

起業はこわい? リスクをどう考えるか

吉戸 三貴

 

自分がしたいことを試すには、あたらしい仕事をつくるしかない。そう結論を出したものの、次に浮かんだ言葉は「こわい」でした。会社員として働く方が向いている、起業なんて特別な人がすること、ずっとそう思っていたので、頭をすぐに切り替えることができなかったのです。

 

とはいえ、漠然とこわがっていても何も変わりません。PR会社でプランナーを続けるのか独立するのか、いずれにしても後悔のない選択をしたいと考え、まずは起業に対する「こわさ」と向き合ってみることにしました。すると、大きくわけて2つの不安があることがわかりました。ひとつは金銭的な不安、もうひとつは失敗への不安です。

 

1、お金の不安

資本金を用意して会社をつくり、仕事を獲得して利益をあげ、十分な収入を得られるだろうか。これが、お金に関する不安のすべてでした。そこで、ひとつひとつに自分なりの答えを出して頭を整理していきました。

 

資本金:1円起業も可能だが、事業資金として使うことや信用を考えると一定の額は必要だと思われる。借金はしたくないので、自己資金で準備できる範囲で設定しよう。

売り上げ:起業時はクライアント、仕事、利益すべてがゼロ。事業計画をつくり、営業の方法と数字の見込みをつくる必要がある。リスクはあるが、1年たっても仕事がゼロということはさすがにないだろう。

給与:事業の利益と連動するので不確定要素は多い。ただ、利益が目的の起業ではないので、コツコツと着実に積み重ねていければ良い。

 

2、失敗への不安

一言でいうと「失敗したら恥ずかしい」という思いがありました。会社がうまくいかなかったら「あたらしい仕事をつくるなんて無理だったんだよ。調子に乗らずに、おとなしく会社員をしていれば良かったのに」なんて言われるかもと、ネガティブな想像ばかりが膨らみました。でも、よく考えてみれば、何を失敗とするかは自分で判断すること。いざとなったら会社員に戻れば良いですし、起業経験から学べることも多いでしょう。失敗するのはこわい。そのとき、周囲にどんな反応をされるかもこわい。でも、一番こわいのは挑戦せずに後悔することだと思いました。

 

起業前に感じた漠然とした「こわさ」は、ひとつひとつ整理することで自分でも解決できそうな課題へとかわっていきました。そして、最後には「大丈夫。まずは、やってみよう」と思えたのです。

 

「起業したい。でも無理!」そんな風に思ったら、なぜ「無理」なのか考えてみましょう。大きすぎて手におえないように見える問題も、小分けにして自分サイズにできれば、答えを出しやすくなりますよ。

 

コラム執筆者プロフィール

株式会社スティル 代表取締役/コミュニケーションスタイリスト

沖縄生まれ。

慶應大学卒業後、沖縄県の奨学金でパリに留学。海外生活を経て極度の人見知りを克服した経験からコミュニケーションに関する仕事に関心を持ち、帰国後PRの世界へ。開館間もない沖縄美ら海水族館の広報担当として経験を積む。

その後、第1期PRプランナー資格を取得し、東京のPR会社に転職。官公庁の大型キャンペーンや外資系メーカーの新製品ローンチに携わる。

プランナーとして活動するうち、表参道に住み働くライフスタイルや独自のコミュニケーション理論に関心が集まり、講演や執筆の依頼が増えたことから、株式会社スティルを設立。

「コミュニケーションを着替えよう」をコンセプトに、コミュニケーションスタイリストという仕事をつくり、活動をスタートした。

現在は、東京・沖縄を拠点に、起業支援、PRコンサルティング、ブランディングなどを行っている。国内外での講演、執筆活動も。