公開日:2020年12月14日
有限会社藍流経営研究所 田中 和明さん
『センス・オブ・ワンダー』
著者:レイチェル・カーソンこの本は20年ほど前、もうすぐ私の子どもが生まれるという時期に本屋に立ち寄った際、“子どもたちへの一番大切な贈りもの”という帯に書かれた言葉に目が留まり手に取った本です。
著者のレイチェル・カーソンは、1960年代にアメリカで環境問題を取り上げた海洋生物学者で、化学物質の危険性について書いた著書「沈黙の春」が有名です。また、カーター大統領から大統領自由勲章を授与された人物でもあります。
この本のタイトル「センス・オブ・ワンダー」は、日本語にすると「神秘さや不思議さに目を見はる感性」という意味で、子どもは生まれながらにして優れた感性を持っていて、子どもに対して大人があれこれ考えて与えなくても、自然界に放り出せば、そこからたくさんのことを感じ取り、学ぶことができるということがわかりやすく書かれています。
私がこの本を読んでから常に気を付けていることは、与えられた情報を鵜呑みにするのではなく、自分の感性を大事にして、何事も自分の純粋な心で考える、少しでも疑問に思ったことは調べるということです。
私は以前ダイビングが好きでよく海に潜っていて、年々海の環境が悪化していくのを肌で感じていました。数年前はとても綺麗だった海に久しぶりに友人を連れて行くと、ペットボトルやビニールゴミが浮いていて、ソフトコーラルが全滅してしまっていた場所もありました。
汚れていく海を見るたびに、便利な世の中になったが、この状況は果たして正しいのかと考えさせられました。
昔と比べて日本は経済的に豊かになりましたが、その代わりに、気候変動、大気汚染、海洋汚染といった大きなリスクを抱えています。これは自然界に目を向ければすぐにわかることですが、都市化が進み自然と触れ合う機会が少なくなると感覚が鈍り、気づかないことがあります。
私が企業のリスクマネジメントのお手伝いをする際に、一つの作業を行うことで、どこまで影響範囲があるのか、そこにはどのようなリスクが隠れているのかを、頭だけでなく心でも考えるようにしているのは、この本の影響が少なからずあるからだと思います。
本の中でレイチェル・カーソンはこのように述べています。
“もしもわたしが、すべての子どもの成長を見守る善良な妖精に話しかける力をもっているとしたら、世界中の子どもに、生涯消えることのない「センス・オブ・ワンダー=神秘さや不思議さに目を見はる感性」を授けてほしいと頼むでしょう。”
本書の中でレイチェル・カーソンは、皆さんが生まれながらにして持っている感覚、感性を大事にしてほしいと訴えています。デジタル化が進み、持続可能な開発目標も注目されるこの時こそ、時折自然を感じ取る時間を持つことが必要だと思います。
起業家プロフィール
有限会社藍流経営研究所 田中 和明
1990年、早稲田大学理工学部 工業経営学科(現 早稲田大学理工学術院 創造理工学部 経営システム工学科)、早稲田大学専門学校(現 早稲田芸術学校)建築科 卒業。
同年、株式会社間組入社。同社にて、基幹業務再構築に従事し、DB構築、事業収支計画システム開発等に従事。
その後、建築民間営業を経て2005年に有限会社藍流経営研究所を設立。
リスクマネジメント協会GRMI。国連関連のボランティア活動にも参画している。
有限会社藍流経営研究所 代表取締役
一般社団法人レジリエンス協会 常務理事
一般社団法人国連平和の鐘を守る会 理事
特定非営利活動法人ふるさとテレビ 理事
特定非営利活動法人国連世界平和協会 理事
取得資格:宅地建物取引主任者、ビル経営管理士、ファイナンシャルプランニング技能士一級(CFP)、認定ファシリティマネージャー、リスクマネジメント協会認定 GRMI Diploma、一級船舶操縦士、潜水士、第一級海上特殊無線技士、第二級陸上特殊無線技士
起業家に影響を与えたこの一冊は、イノベーションズアイ会員企業を対象に取材しています。