公開日:2021年1月28日
株式会社エスペシャリィ 代表取締役 小島 彗来さん
『社員心得帖』
著者:松下幸之助この本は、私がフリーランスとして活動していた頃、ある会社から社員研修の仕事を依頼されたときに書店で見つけた本です。
研修を受ける新入社員の方たちに、普通のマニュアル本に書いてある言葉ではなく、実際に経営者が言っている“生きた言葉”で伝えたいと思い、何かいい教材がないか探していると、タイトルに「社員心得帖」と書いてあったので、気になり手に取りました。
この本は、新入社員向け、中堅社員向け、幹部社員向けの三部構成で、松下幸之助がフェーズ毎に大切だと考える「社員の心得」について具体的にわかり易く書かれています。
物事を始める際には否定から入らず、必ず肯定してプラスの観点から考えなさいということや、部下を信頼して仕事のじゃまをせず任せなさいということ、経営がうまくいかないのは部下のせいではなく、幹部の音頭取りが悪い、といったことが書かれているのですが、この本を読んでいると、書いてあること全てが、普段の生活に繋がる内容だということに気づきます。
例えば、自分で何かを始めようと思った時もマイナスから入らず、「それをやりたいと思った理由は何だったか」という肯定的な気持ちで臨めば、その後いくつ失敗しても、大概のことは平気です。
また、会社で部下が失敗をした際、私は部下に、その失敗はいけないということは伝えますが、その部下のせいにするのではなく、自分で迷惑を掛けてしまった会社へ謝りに行くようにしています。それは経営者としてだけでなく、人としても大切な考え方だと思います。
最近、若い方たちの会話を聞いていると、仕事に対しての不安事が多いように聞こえます。新しい仕事に対して不安を抱えるのは理解しますが、せっかくご縁があった会社なのだから、ここにこれてよかったと思ってスタートできればもっと楽なのにと思います。物事を評価するのではなく感謝することで、さまざまなことが好転することを知ってもらいたいです。
また本書の中には、社員を「叱る」ことについて書かれています。
松下幸之助に叱られた社員が反省しつつも意気消沈するのではなく、むしろ松下幸之助に叱られたこと、目を掛けてもらったことに誇りを感じて、喜んだというお話です。
その人を注目しているから、その人のためを思っているからこそ叱るということを、特に今の若い世代の人たちには知ってほしいです。自分のことを親が見てくれるのは当たり前ですが、企業が自分のことを見てくれるということが、どれだけ幸せなことか気づくだけで、もっと仕事に前向きになれると思います。
後悔や悲観が多い今の社会において、「感謝しなさいよ」ということを上手に教えてくれる本です。
起業家プロフィール
株式会社エスペシャリィ 代表取締役 小島 彗来
小島彗来(こじま けい)
1985年より社員研修、司会、ナレーション、イベント企画制作などの仕事を始める。
2008年よりスペシャルの上を行く専門家集団、株式会社エスペシャリィを設立し企業支援事業を立ち上げる。
2011年、オレンジ・レスキュー合同会社を設立しラジオ番組制作や文化人タレントのマネジメント業務を行う。
2017年、ペットの殺処分防止をスローガンにしたペット用品販売会社 ぺっとのきもち株式会社を設立する。
2020年、自らの女性起業家としての経験をもとに女性の社会的自立の応援団体として一般社団法人Tapを設立する。
会社経営の傍ら、2021年1月よりレインボータウンFM88.5MHz「東京ラジオニュース」にコメンテーターとしてレギュラー出演している。
WebサイトURL:https://especially.co.jp/
起業家に影響を与えたこの一冊は、イノベーションズアイ会員企業を対象に取材しています。