公開日:2021年11月12日
辻下マネジメントコンサルティング 代表 辻下 敏夫さん
『幸福×経営学 次世代日本型組織が世界を変える』
著者:前野隆司、小森谷浩志、天外伺朗社会に出て、働き始めた20代・30代は、仕事ができる男を目指し、メーカーでの勤務やベンチャー企業の創立にも参画し自分のキャリアを蓄積してきました。経済基盤も構築でき自分の培った経験・キャリアを一段と発揮させることを狙い39歳で大手総合商社へ転身しましたが、その後、事業の撤退もあり50代後半で起業することを決意しました。現在は独立して10年目になります。
中小企業のコンサルティングを行う私は、社長の悩みを聞く中で、人の問題、人がつくる組織の問題が多くその解決が事業を成長させる上でとても重要な要素だと考えています。
その「人」の働く環境や働き方が以前と比べ大きく変化しています。
私自身、色々な環境や働き方を経験してきていますが、環境や働き方を通じて、社長の幸せと従業員の幸せをどのように擦り合わせるかがとても悩ましいことでありました。そんな時、この悩みを追求し、この悩みを解決するヒントが書かれた本「幸福学×経営学」に出会いました。
この本は、企業経営のあり方を目指して、人の幸せに根差した経営をどのように行うかを調査・研究しています。
企業の生産性向上だけに走るのではなく、働く皆が、「自分が何を通じて社会の貢献するのか」、「自分がこの組織で働く意味は何か」「自分にとって幸せは何か」を深く問いていると共に、幸せになる基本的なメカニズムが明らかにしています。
幸福度を高める方法には、「やってみよう」(自己実現と成長の因子)、「ありがとう」(つながりと感謝の因子)、「なんとかなる」(前向きと楽観の因子)、「ありのままに」(独立と自分らしさの因子)という4つの因子を意識することによって、幸せに近づけます。
この幸せ因子キーワードは、自分が悩み、迷い、思った通りに行かなかった時に、この因子に当てはめて、心に落ち着かせ、自分が何に執着しているか見つけ出すことに役にたつ。幸せの状況を客観的に捉え、今の状況をイライラさせないこと繋げています。
幸福学では幸福を一時的happinessというよりも、身体的、精神的、社会的に良好で満たされ、健やかな状態の持続である「well-being(ウエル・ビーイング)」と促えます。
本書の目指すところは「well-being 経営」の追求といえるでしょう。
新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに「世界は-経済重視-から-ウエル・ビーイング重視-へと潮流が変わりつつある」世界保健機構(WHO)の憲章にも提唱され、今年2021年に入り、日本もこの考え方を国の政策立案に盛り込む動きも出てきています。
今後の人々の働き方、企業のマネジメントのやり方、社会における企業の存在理由が再び求められます。コロナ禍の前に、出版された本でありますが、時代の潮流にのっている一冊の本です。
この本によって、漠然としていた考えが「こういう事なんだ」と整理できました。そして今後も活かしていきます。
起業家プロフィール
辻下マネジメントコンサルティング 代表 辻下 敏夫
2016年年関東経済産業局 経営革新等支援機関に認定、中小企業診断士、知財アナリスト
福井県敦賀市生まれ
・中小ベンチャー企業(15年間)から総合商社(20年間)へ転身
富士通にてSEを経験し、ベンチャーの創業に参加したが、創業者の急死で15年間の事業を閉じた。その後、大手ソフト会社SCSKを経て三菱商事にキャリア入社(当時39歳)。1989年三菱商事が「情報産業グループ」を社内の創設。自分の培った経験・キャリアが生かせられると判断し、一般公募はなかったが人事部に直接電話して、面談にこぎ付けて、転職に至った。三菱商事の情報産業グループが20年程度続いたが、時代の要請によって、解散・撤退したのを契機に、会社生活を卒業。
・会社卒業後、新しいビジネスモデルを模索・構築(10年間)
自分のビジネスをクリエートしながら、10年間、中小企業診断士としての資格を活かし、国・地方自治体の制度を使った中小企業の公的支援を中心に中心・ベンチャー企業の支援。近年、コロナ対策による「事業再構築補助事業」の支援、現在に至る。
起業家に影響を与えたこの一冊は、イノベーションズアイ会員企業を対象に取材しています。