公開日:2019年9月19日
日本システム企画株式会社 代表取締役社長 熊野 活行さん
『量子力学と私』
著者:朝永 振一郎今から20年以上前に読んだ本なのですが、事業をスタートする私を勇気づけてくれた思い出深い1冊です。
当時の私は、当社の製品であるパイプテクターを世に出すにあたり、どのように製品や事業を説明すれば、理解してもらえ、受け入れてもらえるのか?と非常に悩んでいました。そんな折、何となく立ち寄った本屋さんでたまたま手にしたのがこの本でした。
この本は、物理学の専門書的なタイトル(実際、専門書なのですが)からは想像しにくいのですが、鏡は何で右と左が逆に見えるの?という身近な事象を取り上げ、具体的な事象を例に複写の考え方を説明することから始まり、専門書にも関わらず、数式ではなく文書で量子力学の考え方や理論の説明が記述されていました。
読み終えた私は、量子力学理論の理解を深めたという以上に、ものの見方や考え方に大きな影響を受けることとなりました。
私は9歳の頃から赤錆について疑問を持ち、赤錆を止める方法を考えることに夢中になりました。幼いころから調べることが好きだったこともあり、製品開発のための研究や課題解決には夢中になって取り組むことができたのですが、それをどうやって世に送り出せばよいのかということに対しては、何も考えておらず、その時初めて壁にぶつかったという感じでした。
説明がうまくできなければ、信用されない可能性もあります。プロセスの説明は学問であり、時間が解決していきます。結果でまずは証明すればよいとこの本は教えてくれました。製品を世の中に出す不安なスタート時に、私に自信を与えてくれた一冊でした。
起業家プロフィール
日本システム企画株式会社 代表取締役社長 熊野 活行
東京理科大工学部卒。1972年大日本印刷入社。88年日本システム企画を設立し社長。日本モンゴル友好交流協会と日本ミャンマー友好交流協会の会長。東京都出身。
WebサイトURL:https://www.jspkk.co.jp
起業家に影響を与えたこの一冊は、イノベーションズアイ会員企業を対象に取材しています。