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リフィル処方箋の導入状況、現場の薬剤師が最も困っていることは?

配信元企業:スマスタ

合同会社スマスタ( https://smast.co.jp/ )が運営する薬剤師向け転職情報メディア<ハッピーファーマシスト>( https://smast.co.jp/happypharmacist/ )は、リフィル処方箋の導入状況について現役薬局薬剤師100名にアンケート調査を行いました。

リフィル処方箋の発行数や患者の認知度はまだ低い結果です。現場の薬剤師からは複数の問題点も挙げられています。

またリフィル処方箋応需の手順や確認事項について、厚生労働省の説明を元に図解資料を作成致しました!
記事の末尾からからダウンロードできますので、ぜひ活用してください!

詳細はこちら( https://smast.co.jp/happypharmacist/refill-prescription

■調査概要
● 調査方法:インターネットによる調査
● 調査対象:薬剤師100人
● 調査期間:2022年4月11日~4月21日
● 調査エリア:全国

■調査結果サマリー
● リフィル使用不可の処方箋の記載の最多は「リフィル欄に自動で訂正選が入っている」が54%
● 患者からのリフィル処方箋の希望を受けた薬剤師は18%
● リフィル処方箋を応需して困ったことは次回来局日に対するフォロー
● リフィル処方箋に対する将来の展望や改善してほしいことの最多は「患者さんにリフィル処方箋を周知してほしい」が17%

■ リフィル使用不可の場合。処方箋の記載を調査
リフィル処方箋の様式は、備考欄の前後にリフィル可否についての記入欄があります。

リフィル使用不可の場合、処方箋の記載について調査しました。

リフィル使用不可の処方箋の記載は?
・リフィル欄に自動で訂正線が入っている 54%
・リフィル欄はあるが消されている 40%
・リフィル欄がない 21%
・リフィル欄に手書きで×が入っている 5%
・その他 7%

※複数回答可

▼分析
半数を超えるリフィル不可処方箋に、印刷時点で訂正線が入っていました。

つまり内容に関わらず、現時点でリフィル可処方箋を出す予定はないということ。

リフィル欄がない処方箋を出す医療機関は、レセコン(※)を更新していない可能性があります。

リフィル不可処方箋でリフィル欄がそのままだと、患者さんが勝手に書き加えてしまう可能性が。
現状は不可の場合でも、医師の印鑑等が不要です。

リフィル不可の処方箋を出す場合は、リフィル欄に訂正線などを入れるのが良いでしょう。

※「レセプト(診療報酬明細書)」を作成するコンピューターシステムのこと。

■ リフィル処方箋の浸透。患者さんのリフィル希望はあった?
YES 19%
NO 82%

▼分析
約2割の患者さんから、リフィル処方箋の希望があった結果です。
比較的多くの反応があることが伺えます。

メディア等でのアナウンスが増えれば、さらにリフィル希望の患者さんは増えるかもしれません。

医療費抑制や健康意識の向上のため、リフィル処方箋の推進が求められます。

一方リフィル処方箋が出された患者さんが、リフィルについて理解していなかったという声も。
医療機関・薬局での、十分な説明が大切ですね。

■ リフィル処方箋を応需した薬剤師に調査。何科のどんな処方箋?
アンケートを行った100名のうち、すでにリフィル処方箋を応需した薬剤師は15名。

伺ったリフィル処方箋の内容は以下です。
カッコ内はリフィル回数。

● 内科の降圧剤・脂質代謝異常薬の90日処方(3回)
● 内科の28日処方(不明)
● 内科の降圧剤2種、糖尿病薬2種の60日処方(2回)
● 降圧薬1種類の90日処方(不明)
● 糖尿病でテネリアの90日処方(3回)
● 循環器90日処方(3回)
● 90日分以上の漢方(不明)
● 整形外科の痛み止めの30日処方(3回)
● 整形外科の90日処方(3回)
● 耳鼻咽喉科の小青竜湯30日処方(3回)
● 耳鼻科の内服薬や点眼剤など(不明)
● 泌尿器科の28日処方(2回)
● 泌尿器科の30日分処方(3回)
● 小児科のミティキュア・シダキュアの90日処方(3回)
● シダキュア30日処方(2回)

▼分析
状態が安定しやすい慢性疾患や、漢方・減感作療法薬のリフィル処方箋が多い結果です。

慢性疾患においては、検査の頻度や自宅での健康管理状況を確認しておきたいですね。
今回、血液検査の頻度と安定状況を確認しているという声がありました。

慢性疾患患者さんの確認事項や伝達事項については、薬局で決めておくと良いでしょう。

■ リフィル処方箋の応需。困ったことは?
リフィル処方箋を応需した薬剤師に、リフィル処方箋で困ったことがあったか伺いました。

結果は以下です。一部抜粋してご紹介します。

● 次回来客日に来なかった場合、電話連絡が必要との事だがその管理が困る。まだ数人なので管理も楽だが、増えてきた時に大変になる事は明らか。
● コピーをとったり、処方箋の裏に薬局印を押したり、次回はいつからいつまでに間に薬局に来るように教えたりしないといけないなど、やることが多くて面倒だと感じた。
● 患者希望でリフィルになるのは良いが、医師の判断で高齢者にリフィルが出た時が困った。普段の長期処方とリフィルの違いを説明するのが、難しかった。
● リフィルの欄が小さく、気付きにくい。花粉症の患者さんに、「もう花粉の時期が終わるから、2回目以降は不要」と言われた。
● 制限のある薬にはリフィル処方箋が適応されないことが周知されていない。

▼分析
困ることとしては、次回来局日に対するフォローが大変という声が多く挙がりました。
数か月単位の来局を、薬局で管理するのは正直大変です。

制度としてハッキリしない部分も多く、リフィル処方箋に対し病院・薬局共に手探り状態です。

薬剤師会等で対応をまとめ、勉強会を開催して欲しいという意見も出ています。

■ リフィル処方箋のこれから。将来の展望や改善して欲しい点は?
1位 患者さんにリフィル処方箋を周知して欲しい 16%
2位 記載をわかりやすくして欲しい 15%
3位 偽造対策をして欲しい 14%
4位 病院側にメリットをつけて医師にリフィル推進して欲しい 9%
4位 患者さんの利益・薬剤師の立場や知識の向上に期待 9%
6位 処方箋の紛失対策をして欲しい 8%
7位 患者さんの情報を共有したい 6%
8位 リフィル処方箋の浸透は難しい 5%
その他 17%

※複数回答可

実際の回答は以下です。
※回答は読みやすいように一部改変しています。

1位 患者さんにリフィル処方箋について周知して欲しい 17%
● リフィル処方箋について患者さんの知識がないため、毎回の説明が大変。期限無くいつでも何回でもいいと思っているかたが多い。
● 患者さんにまだ認知されていないので、マイナンバーのように国のCMなどで広く認知されるようにしてほしい。

2位 記載をわかりやすくして欲しい 15%
● リフィル可の欄が空欄だと、リフィル不可なのか、書き忘れなのかわからないので、リフィル可だけでなく不可の欄も作って必ず記入するようにしてほしい。
● 調剤日と次回調剤予定日を書く欄はあるが、それだけでは説明不足のため、受け取り可能期間を記入する欄を追加してほしい。

3位 偽造対策をして欲しい 13%
● 回数を記入する欄に医師の署名や押印の欄があった方がいいと思う。今のままだと、患者が勝手に記入しても分からない。また、記入すれば繰り返し使えると誤解を与えてしまう可能性がある。

4位 病院・医師に対してリフィルを推進して欲しい 10%
● リフィル処方箋は個人クリニックでの金銭的メリットが少ないためかほとんど出ない印象。普及を拡大するためにリフィルで得られる点数を病院側にもつけれるようにするべきかと思います。

4位 患者さんの利益・薬剤師の立場や知識の向上に期待 9%
● リフィル調剤では、患者へのヒアリングから本当に調剤投薬していいか薬剤師の判断が肝となります。よってより高度な知識を持つ薬剤師が増えます。世間からの薬剤師に対するイメージも良い方向で変わると思います。

6位 処方箋の紛失対策をして欲しい 8%
● リフィル処方だけでもいいので電子化してほしい。紙の処方箋だと必ず無くしてしまう患者が出てしまうため。

7位 患者さんの情報を共有したい 6%
● リフィル処方箋を必ず同じ薬局に持ってくるとは限らないので、次回への引き継ぎコメントを共有できるシステムが欲しいです。

8位 リフィル処方箋の浸透は難しい 5%
● リフィル処方箋の導入により、医業収入が減少するので普及は厳しいのでは?と考えます。また門前薬局でないと副作用や飲み残しの判断も厳しいと感じます。
その他 18%
● 優秀な薬剤師、医者と対等に話ができるような技量の薬剤師を育成しないと、医療事故などが起こり患者さんに不利益を与えてしまうと思います。リフィル専門の薬剤師など一定の線引きがあれば、患者さんにも国にも有用な事だと感じます。
● リフィル処方箋の運用が広がると、薬剤師側で患者さまの状態を把握したうえで、2回目以降の調剤をせず医療機関に紹介する方が望ましいケースも出てくるのではないかと思われます。そういった場合の判断基準を、オンライン含む研修等で学べる機会があるとありがたいと思います。

▼分析
患者さんからのリフィル希望が2割に留まったことからも、まだまだリフィル処方箋が周知されていないことが伺えます。

リフィル欄の字が細かく、読みにくいと感じる薬剤師も多いです。
現状は偽造可能なことも含め、リフィル記載方法の変更が求められます。

病院側にメリットを与え、リフィル処方箋が推進されて欲しいと願う薬剤師も多い結果。

リフィル処方箋の応需には、薬剤師の知識や経験が欠かせません。
必要に応じて受診を促す必要もあり、AIには奪われない対人業務の1つに。

薬剤師の地位向上に繋がるリフィル処方箋が、使いやすく変わり浸透することが望まれます。

■所感
処方箋のリフィル可により、医療費の削減や待ち時間軽減・薬剤師の地位向上が期待できます。

しかし現状でリフィル処方箋の発行数はそれほど多くなく、否定的な医療機関も多いです。

リフィル処方箋発行による医療機関側のメリット発生や、わかりやすく偽造不可能なリフィル処方箋の仕組み作りが求められますね。

薬剤師側もリフィル処方箋の増加に向け、スキルアップしておきましょう。

リフィル処方箋の仕組みは、令和4年度調剤報酬改定の概要に掲載されています。
こちらをわかりやすく図式・一覧化し、ファイルにまとめました。

ダウンロードして活用してください!

ファイル名:リフィル処方箋応需の手順と確認事項・図解まとめ(pdf)
ダウンロードURL:https://smast.co.jp/happypharmacist/refill-prescription#title1


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■会社概要
会社名: 合同会社スマスタ
所在地: 愛知県犬山市犬山北別祖97-5
代表:鈴木唯史
設立:2020年3月9日
事業内容:Webコンテンツ制作
URL:https://smast.co.jp/

お問い合わせ先

電話:0568-50-2690
メール:info@smast.co.jp

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