起業家に影響を与えたこの一冊

起業家

株式会社アイ・エス・シー 代表取締役社長 宮本 明憲さん

売り込まなくても売れる!

『売り込まなくても売れる!』 著者:ジャック・ワース&ニコラス・E・ルーベン

公開日:2017年9月6日

売り込まなくても売れる!

私は、大学卒業後、大手財閥系リース会社に就職し、配属先は営業部で、主に機械のリースに関する営業を行いました。

当時、会社の指導員・先輩から教わった営業の方法としての指導は、一つだけでした。

「お客様と仲良くして、仕事を紹介してもらえ」。

「では、どのように仲良くすればよいのですか」と問うと、

「とりあえず、相手のところに行って、話をしろ。話ができなければ、ニコニコ笑っていろ。」
「それを続ければ、相手も心をひらいてくれる。」
「行くとこなければ、片っ端から電話しろ。」

そういう指導しかない時代でした。

おそらく、当時の商社系、証券などの金融系に至ってもみな同様に、「コールドコール」や「飛び込み」などの闇雲に相手にぶつかっていく営業、そして、ぶつかって万にひとつでも相手にしてもらえれば、ひたすら男芸者を行うような営業を行っていたと思います。

このような営業方式でも、慣れてくると不思議なもので、それなりに成果は出るのですが、相手に拒絶されたり、営業で勝った負けたと勝負のようになったり、今ひとつ、後味の良くないことが多々あり、「大学まで勉強して、なんで自分はこんなことをしているのだろう」と、ふと疑問に感じることがしばしばありました。

結局、「こんなことを続けていても、自己の成長にならない」という考えに至り、思い切って40歳で外資の金融機関に転職しました。

その外資の金融機関での業務は、巨額の投資商品を日本の投資家に販売することでした。通常では信じられないような金額の投資を人に勧めます。
しかし、転職先においても、この金融工学を駆使して作った投資商品を投資家に売るときにはまた、コールドコールから始めたり、有名な投資家に飛び込んだり、ひたすら男芸者に徹して、勝ったの負けたので、商品を投資家に買ってもらう「従来の営業」でした。以前の職場での営業と違うのは金額だけです。

やがて、その商品も旬を過ぎ、市場の不安定さが増す中で、さらに思い切って、ビジネスコンサルタントとして独立することにしました。

ただし、「自分から進んで独立した」というよりもむしろ、やむをえず、「崖から飛び降りるような気持ちで独立した」ので、右も左もわからず、必死になって何か手がかりがないか探し求め、書籍も目につく物をあさりました。

そんな時に出会ったのがこの本です。

この本を読んだおかげで、自分の営業にパラダイムシフトが起こった気がしています。決して、この本の内容すべてを肯定するというわけではありませんが、営業には様々な方法があり、営業こそが合理的に進めていくべき企業活動であると気が付かせてもらった本です。

こちらから無理やり売り込むのではなく、相手に取捨選択させて、相互に納得の上、クロージングを行う。これにより、営業後の「買わされてしまった」「売ってやった」といった奇妙な勝ち負け気分や、たとえ、うまく商談が進まずに相手に拒絶されたときでも、苦い気持ちが起こることなく、営業をできることを学びました。「売り込まなくても売れる」方式は、今でいう「コンテンツマーケティング」の走りであったように思います。

また、同時に様々なマーケティング手法を研究し、マーケティングの手法を真似することで、営業の幅が広がったことにより、ほぼ、一人でビジネスコンサルタントをしておりますが、全国に拠点を持つ物流企業、大手環境系の上場企業、中国の大手ファンドの方々などから依頼を受け、実績を積むことが出来ました。

もし、この本と出逢えなかったら、今でも、勝った負けたの営業をやっていたかもしれませんし、途中で自分のビジネスを諦め、サラリーマンに戻るか、最悪の場合、バイト人生を送る羽目になったかもしれません。そういう意味でも、自分の視野を大きく広げてくれた本だと思っております。

起業家プロフィール

株式会社アイ・エス・シー 代表取締役社長 宮本 明憲 代表取締役社長 宮本 明憲 株式会社アイ・エス・シー 代表取締役社長

早稲田大学政治経済学部卒業後、外資系銀行、独立系フィナンシャルサービス会社などを経て、2016年12月にアイ・エスシー代表取締役社長に就任。一般社団法人日中産業ビジネス交流協会の理事も務める。
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