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株式会社コーチビジネス研究所 代表取締役 五十嵐 久さん

米百俵 小林虎三郎の思想

新聞奨学生として、大学に通うことになったとき新聞販売店の店主から勧められて読んだ本です。

小林虎三郎は越後国長岡藩士で、戊辰戦争に敗れた長岡藩の窮状を見かねた支藩・三根山藩から百俵の米を譲り受けました。百俵の米を譲り受けた小林虎三郎は、食べることをせず、お金に換えて学校を建て復興するという小林虎三郎の思想が書かれた本です。

私の出身は新潟県小千谷市、雪深い陸の孤島のような小さな村で育ちました。当時はそんな田舎町から東京の学校に行くことなど考えられない時代でしたが、両親に相談し学費も生活費も自分で稼ぐということを条件に東京へ行かせてもらいました。

新聞奨学生制度というものを使い、東京の文京区にある新聞販売店に住み込みで働きながら学校へ通っていました。新聞配達だけでなく、集金やセールスもしなければならず、想像以上に辛い日々でした。毎日毎日「辞めたい、辞めたい」などと泣き言をいい、悶々とした生活を送っていた時に、新聞販売店の店長から勧められた本が、この『米百俵』です。感動が止まらず何度も何度も読み返しました。そしてイヤイヤ日々を送っている自分が恥ずかしく思い、考え方を改めるきっかけを与えてくれたのがこの本でした。

私の配達区域は、東京の文京区の小石川という所でした。この地域は中小の印刷・製本業者が集積している地域でもあります。4年間この地を担当していたこともあり、地域の読者の皆さんにとても温かくして頂きました。この時のご恩が忘れられず、中小企業のための支援ができる仕事がしたいと思い、学校卒業後は公的な中小企業支援機関に勤めました。そして多くの中小企業の皆さんとお会いする中で、人材の育成こそ最も重要な課題であると感じ、人材育成の道に進むようになりました。それも常に頭の中に「米百俵」の精神があったことが影響しています。

起業家プロフィール

株式会社コーチビジネス研究所 代表取締役 五十嵐 久

淑徳大学「プロコーチ入門講座」講師/一般社団法人東京コーチング協会 理事/中小企業診断士/GCS・JIMC認定プロコーチ/
産業カウンセラー/キャリアコンサルタント

新潟県小千谷市生まれ。経済的な事情から大学生活4年間を新聞育英小学生として過ごす。このときのさまざまな経験がその後の人生を決めることとなり、卒業後は公的な中小企業支援機関に勤務。中小企業診断士として1万社以上の資金調達支援、起業支援、再生支援、経営相談業務等に携わる。

多くの経営者との出会いの中で人材育成の重要性を感じ、1992年人材育成コンサルタント・アカデミー、産業カウンセラー協会等で人材育成手法やカウンセリングを学ぶ。その後2005年から多くの機関でのコーチングを学びコーチとして活躍を開始。2015年9月には、コーチングの普及と発展を目指して、有志と一般社団法人東京コーチング協会を設立し共同代表に就任。

現在は、プロ・コーチ、中小企業診断士として活躍する傍ら、企業・団体の研修、淑徳大学、コーチ育成機関等でコーチングを教えている。

コーチング、コンサルティング、カウンセリングのそれぞれのスキルとノウハウを有し、あらゆる課題を包み込む安心感と懐の深さに定評がある。

主な執筆
「スモールビジネスハンドブック」(ビーケイシー)
「“社長の想い”を軸にするパートナー型コンサルティング」『企業診断』(同友館)
「ビジネスコーチングを活用した経営者と渉外話法」『バンクビジネス』(近代セールス社)等多数

WebサイトURL:http://coaching-labo.co.jp/

【株式会社コーチビジネス研究所 代表取締役 五十嵐 久さんの著書】

代表取締役 五十嵐 久

起業家に影響を与えたこの一冊は、イノベーションズアイ会員企業を対象に取材しています。