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FTI JAPAN株式会社 代表取締役社長 鳴海 健太朗さん

「社会を変える」を仕事にする

大学を卒業し、製薬会社の営業職に就いた私は、サラリーマンとして忙しい毎日を過ごしていました。今思えば成果主義に傾倒し、色んな物事を省みずに仕事に没頭していたように思います。

ある時「この仕事は私がやらなくても代わりは沢山いるのでは・・・、もっと違うこと、大きな目標に向かってチャレンジしたい…、」と考えるようになり、薬剤師国家資格を取得していなかったこともあり一念発起して会社を辞め、資格予備校に入り試験浪人となりました。そんな時、たまたま立ち寄った本屋で見つけたのがこの本です。

この本を読み、社会性とビジネスを両立させることができることを初めて知りました。ぼんやり鬱々とこれからの将来を考えていた当時の私にとっては、衝撃の一冊でした。現在当社が目指す“BOPビジネス”を考えはじめたキッカケになったとも言えます。

インドネシアの経済は我々日本人の想像を絶するスピードで成長しています。アジア通貨危機時代のジャカルタではサンダルどころか裸足で歩く人が多く居たそうですが、今や巨大なショッピングモールが数多く建ち並び、高価な衣類を値札も見ずに買っていく人々を見ます。その影で経済成長から取り残されトタンの住居に暮らす人たちや、さらに産業の乏しい地方に行けば、1日2ドル以下で暮らす貧困所得層が数多く存在します。

統計データをみれば総人口の17.8%が貧困層、この70%が沿岸地域や都心部から離れた地方、離島に住む人々で構成されています。こういった漁村から積極的に海産物の買い付けを行い、日本に出荷する。これが私たちの仕事です。ビジネスの力で開発不均衡の是正と沿岸部の経済発展を成し遂げる、これが私たちのビジネスのターゲットです。

何かに挑戦したいと思った10年前から、数多くの挫折や失敗を経験し、社会性の高い仕事に携われることに誇りを感じます。現在も自身の実力の無さにうなだれることもありますが、私自身が主体性を持って社会の課題を解決すべく動くことによって、日本だけでなくインドネシアにいる沢山の支援者、協力者の方々に背中を押され、支えられて仕事を続けることができています。

“何かに挑戦したい“という想いは、”社会のためになりたい“という夢となり、具体的な事業という形になりつつあります。

この本が、今を作るキッカケの一つになったのは間違いないでしょう。

起業家プロフィール

FTI JAPAN株式会社 代表取締役社長 鳴海 健太朗

1981年生まれ。新潟県出身。
東京薬科大薬学部卒、2004年4月日本ベーリンガーインゲルハイム(現ベーリンガーインゲルハイムジャパン)入社。リジョス、国際ライフサイエンスを経て、2012年8月にFTI JAPAN入社。2013年10月から社長。

好きな言葉は「売手良し、買手良し、世間良し」。

WebサイトURL:https://ftijapan.co.jp

代表取締役社長 鳴海 健太朗

起業家に影響を与えたこの一冊は、イノベーションズアイ会員企業を対象に取材しています。